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論文

Fluoropolymer-based nanostructured membranes created by swift-heavy-ion irradiation and their energy and environmental applications

八巻 徹也*; Nuryanthi, N.*; 喜多村 茜; 越川 博*; 澤田 真一*; Voss, K.-O.*; Severin, D.*; Tautmann, C.*

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 435, p.162 - 168, 2018/11

 被引用回数:8 パーセンタイル:62.29(Instruments & Instrumentation)

フッ素系高分子膜(PVDF及びETFE)に直径数十から数百nmのイオントラックを作製し、化学エッチング処理によってイオン穿孔を、またグラフト重合によってイオン交換膜を作製する技術をそれぞれ開発した。PVDF膜におけるイオン穿孔膜に関しては、穿孔径がLETに依存することがわかり、高い精度で形状制御が可能であることを示した。また、グラフト重合によるETFEのイオン交換膜は燃料電池の電解質膜に適することを示した。このように我々が開発した技術は、水質管理や石油精製などのろ過技術、及び燃料電池の分野に貢献する。

論文

Effect of $$gamma$$-irradiation on latent tracks of polyethylene terephthalate (PET) film

廣木 章博; 浅野 雅春; 八巻 徹也; 吉田 勝

Chemical Physics Letters, 406(1-3), p.188 - 191, 2005/04

 被引用回数:10 パーセンタイル:32.95(Chemistry, Physical)

本論文では、重イオン照射したポリエチレンテレフタレート(PET)膜の潜在飛跡に及ぼす$$gamma$$線照射の影響を検討した。Xeイオン照射したPET膜にエッチングの前処理として$$gamma$$線を0-160kGy照射し、その後、70$$^{circ}$$C, 0.2M NaOH溶液中で所定時間エッチングを行い、イオン穿孔膜を作製した。イオン穿孔膜の孔径を、走査型電子顕微鏡(SEM)観察と電気伝導度測定により求めた。その結果、$$gamma$$線照射線量の増加に伴い、SEM観察により得られた孔径は減少し、一方、電気伝導度測定により得られた孔径は増大することがわかった。観察手法の違いにより生じた孔径の不一致は、$$gamma$$線照射により潜在飛跡内に生じた架橋構造に起因していると考察した。

論文

孔径を自由に変えることができる温度応答性分離多孔膜の開発; 目的物質を選択分離する高機能膜の作製と応用性

浅野 雅春; 吉田 勝

工業材料, 52(12), p.65 - 69, 2004/12

イオン照射・エッチング処理技術により得られた円柱状の貫通孔を持つ穿孔膜表面と孔壁面に、温度に応答して伸縮するゲル層を放射線グラフト重合によって導入し、温度変化に追従させてゲル層厚(孔径)を制御することで、目的物質を選択的に分離できる温度応答性多孔膜を開発した。エチレングリコールビスアリルカーボネートに基づく基材フイルム(50$$mu$$m厚)に6.19MeV/nのエネルギーを持つ$$^{84}$$LiKrイオンを1$$times$$10$$^{7}$$Li ions/cm$$^{2}$$Liのフルエンスで照射し、次いで6M NaOH水溶液に浸漬し60$$^{circ}$$Cで所定時間エッチングを行い、1.3$$mu$$m径の円柱状貫通孔からなるイオン穿孔膜を作製した。次いで、アクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)水溶液にイオン穿孔膜を浸漬し、$$^{60}$$LiCo線源からの$$gamma$$線を30kGy照射することで、イオン穿孔膜にA-ProOMeに基づくポリマーゲルを重量で1.1%化学修飾した。この膜の温度による孔のon-offスイッチング機能を知るため、0.1M KCl水溶液中、0$$^{circ}$$Cと30$$^{circ}$$Cの間で電流値を測定したところ、温度と孔のサイズの変化に追従して電流値は可逆的に応答することがわかった。

論文

Anisotropically conducting films consisting of sub-micron copper wires in the ion track membranes of poly(ethylene terephthalate)

前川 康成; 越川 博; 吉田 勝

Polymer, 45(7), p.2291 - 2295, 2004/03

 被引用回数:8 パーセンタイル:28.47(Polymer Science)

現在より10倍の密度で銅細線が存在する異方導電性膜の作製を目的に、ポリエチレンテレフタレート(PET)イオン穿孔膜のサブミクロン以下の微細孔に銅細線を析出させることで銅/PET複合膜を作製し、その異方導電性を調べた。PET膜に$$^{129}$$Xe$$^{23+}$$イオンビームを照射後、NaOH水溶液でエッチングして孔径1.9$$mu$$m及び200nmの円筒形穿孔を作製した。穿孔内に硫酸銅水溶液を用いて電気化学的に銅細線を析出させ、PET/銅複合膜を作製した。直径1.9$$mu$$mの銅細線は波状の凹凸があり、直径200nmの銅細線では滑らかな表面を示した。穿孔膜断面の穿孔壁面より、銅細線は穿孔形状に正確に反映して析出されることが示された。4端子抵抗法により複合膜の抵抗を測定し、膜面に垂直な方向について計算値にほぼ等しい導電性が示され、膜面に平行な方向には導電性がないことで異方導電性が示された。

論文

Diode-like single-ion track membrane prepared by electro-stopping

Apel, P. Y.*; Korchev, Y. E.*; Siwy, Z.*; Spohr, R.*; 吉田 勝

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 184(3), p.337 - 346, 2001/11

 被引用回数:477 パーセンタイル:99.96(Instruments & Instrumentation)

電気化学的手法を利用して非対称構造を持つポリエチレンテレフタレートフイルムを調製することを目的に、一個のイオンを照射したフイルムを電解セルに固定、次いでセルの片側をアルカリ溶液(9M NaOH),その反対側を酸性溶液(2M KCl / 2M HCOOH)で満たした。アルカリエッチング反応の進行と共にイオン穿孔が形成され、最終的に、孔がフイルムを貫通した瞬間に両者の溶液が混ざり合い中和によって反応を停止させた。この操作によりエッチピットが数ナノメーターの孔径からなる円錐状イオン穿孔フイルムを得ることが出来た。非対照構造を持つイオン穿孔フイルムの特性を電気伝導度測定結果から評価した。

論文

Conductometric study of the radial track etch rate; Free shape analysis

Peng, L.; Apel, P.*; 前川 康成; 吉田 勝

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 168(4), p.527 - 532, 2000/08

 被引用回数:12 パーセンタイル:62.12(Instruments & Instrumentation)

化学エッチングによるイオン穿孔膜の作製において、照射ダメージ部に生成する微細孔の孔径増加に比例して、その膜を介した電子伝導度は増加する。これまで、微細孔形状の仮定(シリンダーモデル、ダブルコーンモデルなど)により、電気伝導度変化からそのサイズを求める報告がなされている。今回、微細孔形状を''Rest Flame Model''で表すことにより、あらかじめその形状を仮定する必要のない任意形状モデルで微細孔サイズを求めた。PET膜のエッチング過程の解析より、ダブルコーンモデルでは、エッチング初期において微細孔の孔径を課題評価していることが明らかとなった。

論文

Size-exclusion property of bare ion track membranes for separation of polyetylenglycols

浅野 雅春; 前川 康成; 吉田 勝

JAERI-Review 99-025, TIARA Annual Report 1998, p.87 - 88, 1999/10

イオン穿孔膜自身の物質分離機能を評価することを目的として、種々の分子量をもつPEGを用い、その透過性に及ぼすイオン穿孔膜の種類及び共重合膜の組成比の影響について検討した。CR-39膜(38$$mu$$m)、CR-39/A-ProOMe共重合膜(38$$mu$$m)は3%IPPを重合開始剤として、70$$^{circ}C$$、24時間の条件によってキャスト重合によって得た。重イオン照射は450MeVのエネルギーをもつ$$^{129}$$Xeイオンを10$$^{3}$$ions/cm$$^{2}$$のフルエンスで照射することによって行った。化学エッチング処理は60$$^{circ}C$$の6N NaOH水溶液を用いて任意の時間処理することによって行った。イオン穿孔膜にCR-39膜、PET膜、CR-39/A-ProOMe(50/50)共重合膜を用いた時の40$$^{circ}C$$での種々の分子量をもつPEGの透過は分子量が70,000から300までは分子量の増加とともに緩やかに上昇し、106で急激に増加した。この傾向は3つの膜に共通して観察されたが、PEGの透過量はCR-39/A-ProOMe(50/50)共重合膜、CR-39膜、PET膜の順に高くなった。この透過量の違いの原因として、膜の親水性、あるいは官能基(CR-39:-CH2OH,PET:-COOH,CR-39/A-ProOMe:-CH2OH,-COOH,-ProOMe)などが考えられる。次に、イオン穿孔膜にCR-39/A-ProOMe共重合膜を用いた時の40$$^{circ}C$$でのPEGの透過に及ぼす組成比の影響について検討したところ、PEGの透過が共重合膜の組成に強く影響を受け、20%のA-ProOMe組成を含む共重合膜で最大になることがわかった。

論文

Permeation of p-nitrophenol through N-isopropylacrylamide-grafted etched-track membrane close to $$theta$$-point temperature

廣木 章博*; 吉田 勝; 長岡 範安*; 浅野 雅春; N.Reber*; R.Spohr*; 久保田 仁*; 片貝 良一*

Radiat. Eff. Defects Solids, 147, p.165 - 175, 1999/00

N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)のポリマーゲルは、32$$^{circ}$$C付近に下限臨界共溶温度(LCST)を持つため、この温度の前後で可逆的な膨潤収縮挙動を示すことが知られている。孔径が2.5$$mu$$mで、かつ形状が円柱状の貫通孔からなるイオン穿孔膜に、上述のNIPAAmゲルを放射線グラフトした。グラフトしたNIPPAmゲル層は温度変化に追従した、伸びたり縮んだりするため、孔のサイズ制御が可能となる。この機能性多孔膜の性能をp-ニトロフェノール(PNP)の透過から調べた。その結果、PNPの透過は、30$$^{circ}$$Cで著しく抑制され、7.12$$times$$10$$^{-5}$$cm/minの値を示した。これに対し、29$$^{circ}$$Cと31$$^{circ}$$Cでの透過は、30$$^{circ}$$Cに比べて約100倍近く加速された(29$$^{circ}$$Cが3.84$$times$$10$$^{-3}$$cm/min,31$$^{circ}$$Cが2.46$$times$$10$$^{-3}$$cm/min)。30$$^{circ}$$Cにおける透過の抑制は、29$$^{circ}$$C付近に存在する$$theta$$温度の存在により説明することができる。$$theta$$温度ではNIPPAmと水との親水性相互作用が見掛け上、消失する。この作用によって、30$$^{circ}$$Cで透過が抑制されたものと考えられる。

論文

Creation of thermo-responsive ion-track membranes

吉田 勝; 浅野 雅春; 諏訪 武; N.Reber*; R.Spohr*; 片貝 良一*

Advanced Materials, (9), p.757 - 758, 1997/09

 被引用回数:28 パーセンタイル:98.06(Chemistry, Multidisciplinary)

イオン穿孔膜にアクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)を放射線グラフトし、温度変化に追従して孔が開閉する温度応答性多孔膜を合成した。A-ProOMeに基づくゲル層は14$$^{circ}$$Cで体積相転移を起こすため、これ以下の温度で膨潤、逆にこれ以上温度で収縮する。この温度応答性多孔膜(10$$^{7}$$孔/cm$$^{2}$$)の特性をP-ニトロフェノールの透過から評価した。14$$^{circ}$$C以下の温度の場合、物質の透過は8.2$$times$$10$$^{-6}$$cm/minであった。これに対し、温度が14$$^{circ}$$C以上になると、物質の透過は5$$times$$10$$^{-3}$$cm/minまで増大した。この結果から、物質の透過が温度応答機能をもつゲルの働きによって制御できることが示された。

論文

Reversible on-off switch function of ion-track pores for thermo-responsive films based on copolymers consisting of diethyleneglycol-bis-allylcarbonate and acryloyl-L-proline methyl ester

吉田 勝; 長岡 範安*; 浅野 雅春; 大道 英樹; 久保田 仁*; 小倉 紘一*; Vetter, J.*; Spohr, R.*; 片貝 良一*

Journal of Nuclear Materials, 122(1), p.39 - 44, 1997/00

イオン穿孔技術と新しい機能材料を組み合わせることによって、僅かな温度の変化に敏感に応答するインテリジェント化学弁を調製した。機能材料は、放射線感受性の材料として知られているジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR-39)と温度応答ゲルとして新しく開発されたアクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)のコポリマーからなる。このコポリマー膜へのイオン穿孔の形成は11.6MeV/n$$^{208}$$Pbイオンを照射ののち、6M水酸化ナトリウム水溶液中、60$$^{circ}$$Cで10分エッチングすることにより行った。コポリマー膜中に形成されたイオン穿孔の孔径は、水中において30$$^{circ}$$Cで0.3$$mu$$m、0$$^{circ}$$Cで完全に閉まった状態を示すことが分かった。

論文

Substrate-specific functional membranes based on etched ion tracks

吉田 勝; 浅野 雅春; 大道 英樹; Spohr, R.*; 片貝 良一*

Radiat. Meas., 28(1-6), p.799 - 810, 1997/00

 被引用回数:12 パーセンタイル:67.87(Nuclear Science & Technology)

円柱状の貫通孔からなるイオン穿孔膜に温度応答性ゲルのモノマーであるN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)、アクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)を放射線重合によって化学的に修飾した。得られた温度応答性多孔膜中の孔の物理的構造の変化は電気伝導度、走査型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡などで観察した。また、孔径変化にともなう物質の透過制御は、P-ニトロフェノールなどを用いて調べた。

論文

Novel thin film with cylindrical nanopores that open and close depending on temperature: First successful synthesis

吉田 勝; 浅野 雅春; Safranj, A.; 大道 英樹; Spohr, R.*; Vetter, J.*; 片貝 良一*

Macromolecules, 29(27), p.8987 - 8989, 1996/00

 被引用回数:53 パーセンタイル:87.39(Polymer Science)

円筒状の貫通孔をもつイオン穿孔膜にアクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)を放射線グラフトし、温度変化に追従して孔が開閉する温度応答性多孔膜を合成した。A-ProOMeに基づくゲル層は14$$^{circ}$$Cで体積相転移を起こすため、これ以下の温度で膨潤、逆にこれ以上の温度で収縮する。原子間力顕微鏡による観察から、16$$^{circ}$$Cで処理した温度応答性多孔膜は、円筒状のイオン穿孔(1.3$$mu$$m径)とその表面に被覆された0.3$$mu$$mの厚さからなるグラフトゲル層からなることが分かった。この場合、0.7$$mu$$m径の円筒状の貫通孔が得られた。対称的に、12$$^{circ}$$Cではグラフトゲル層が膨潤するため、孔が完全に閉じた。この温度応答性多孔膜の性能は、p-ニトロフェノールの透過からも調べた。

論文

知能を持つイオン穿孔膜

吉田 勝

BEAMS 1995: 第6回粒子線の先端的応用技術に関するシンポジウム講演論文集, 0, p.139 - 154, 1995/00

イオン穿孔膜は、膜に重イオンを照射したあとに残るイオントラックをアルカリ溶液中でエッチングすると得られる。この多孔膜の特徴は、孔の数、密度、形状の制御が容易なことである。この多孔膜にインテリジェント機能を付与する目的で、側鎖にアミノ酸を有するゲルを用いて孔を化学修飾することにより温度、pH、電場などの外部環境からの刺激に応答し孔のサイズを任意に制御したり、あるいはゲルのもつ認識・識別機能により類似の物性やサイズを有する物質の分離が可能な環境応答性多孔膜を創製する研究を行っている。

口頭

Creation of fluoropolymer-based nanostructures by swift-heavy-ion irradiation

八巻 徹也

no journal, , 

保有するイオン加速器施設TIARAにおいて、独自の照射技術と長年の研究で得た照射効果に関する知識をもとに、化学的、熱的に安定で加工が難しいフッ素系高分子のナノ構造形成に挑んでいる。高エネルギー、とりわけ数百MeV以上の重イオンビームによる高分子材料の開発では、何と言っても単一イオンの改質能をいかに利用するかが鍵である。本講演では、単一イオンの軌跡(潜在飛跡)を利用したフッ素系高分子ナノ構造体の創製に関する最近の研究成果を(1)化学エッチングによる多孔質体(イオン穿孔膜)、(2)グラフト重合によるプロトン伝導性膜の開発に分けて発表する。

口頭

Fluoropolymer-based nanostructures created by swift-heavy-ion irradiation

八巻 徹也

no journal, , 

高崎量子応用研究所では、保有する電子、イオン加速器施設(TIARA)において、独自の照射技術と長年の研究で得た照射効果に関する知識をもとに、機能性材料の研究を行っている。本発表では、その代表的成果を紹介するとともに、化学的、熱的に安定で加工が難しいフッ素系高分子のナノ構造形成に関する我々の研究について報告する。高エネルギー、とりわけ数百MeV以上の重イオンビームによる高分子材料の開発では、単一イオンの改質能をいかに利用するかが鍵である。そこで、TIARAサイクロトロンにおける単一イオンの潜在飛跡を利用した最近の研究成果として、化学エッチングによる多孔質体(イオン穿孔膜)とグラフト重合によるプロトン伝導性膜の作製技術について述べる。

口頭

Heavy ion tracks in fluoropolymer film; Recent developments and future prospects

八巻 徹也; Nuryanthi, N.*; 越川 博; 浅野 雅春*; 澤田 真一; 喜多村 茜; 前川 康成; Kay-Obbe, V.*; Severin, D.*; Seidl, T.*; et al.

no journal, , 

本研究では、より速く効率的にポリフッ化ビニリデン(PVDF)イオン穿孔膜を作製することを目指し、"その場"かつ"オンライン"分析によって、潜在飛跡内に存在する化学種の構造や反応性を調べた。その結果、照射と同時に生成したラジカルを介して、PVDF鎖中および切断末端の不飽和結合が主に生成することがわかった。このような飛跡内の生成物にのみ作用しエッチングを加速するための改質過程として、潜在飛跡の酸化に着目したエッチング前処理法を提案できた。この手法は、飛跡内に不飽和結合が形成されるすべての高分子に適用できると考えられることから、PVDF以外のフッ素系高分子からなるイオン穿孔膜の実現可能性についても展望する。

口頭

イオンビーム穿孔を用いた金属ナノニードルの作製

越川 博; 山本 春也; 杉本 雅樹; 喜多村 茜; 澤田 真一; 八巻 徹也

no journal, , 

数百MeVに加速した重イオンを高分子膜に照射し、アルカリ溶液で化学エッチングすると、直径が数十nm以上でさまざまな形状の穿孔を作製できる。本研究では、円すい状に制御した穿孔をテンプレートとして用い、蒸着法と電気メッキ法を組み合わせた新しい手法による金属ナノニードル作製を検討した。330MeVに加速した$$^{40}$$Arイオン(フルエンス: 3.0$$times$$10$$^{8}$$ ions/cm$$^{2}$$)を25$$mu$$m厚のポリイミド(PI)膜に照射した後、60$$^{circ}$$Cの次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液で30分エッチングすることにより表面直径500nmの円すい状穿孔を得た。その後、穿孔の内壁に金薄膜をスパッタ蒸着し、これを電極としてpH1に調整した1M硫酸銅水溶液を電解液として銅メッキを施した。NaClO溶液でPIテンプレートを溶解、除去し、走査型電子顕微鏡(SEM)により表面を観察したところ、銅基板上に直径500nm、高さ1.2$$mu$$mの銅ナノニードルを作製することができた。

口頭

酸素中での重イオンビーム照射技術を用いたフッ素系高分子イオン穿孔膜の作製

喜多村 茜; 八巻 徹也*; 百合 庸介*; 越川 博*; 澤田 真一*; 湯山 貴裕*

no journal, , 

フッ素系高分子膜におけるイオン穿孔の作製技術は、材料自体の化学的安定性に阻まれているがゆえ、今日までにPVDF膜でしか成功されていない。しかもイオントラック形成後の化学エッチング処理時に、材料自体にも損傷を及ぼす非常に強い酸化剤を使用するため、イオン穿孔膜として使用できる強度が保たれていない。そこで我々は、イオントラックの酸化がエッチング溶液の導入を促すという先行研究の結果を基に、酸素中でイオンビームを照射することによって、イオントラック形成と同時にトラック内部も酸化させるアイディアを得た。本研究では、フッ素系高分子の中でも、素材自体を劣化させる強酸化剤を使用するものの、唯一イオントラックを溶出できる溶液が存在するPVDF膜を対象にイオン穿孔の作製を行った。酸素中でイオンビームを照射できる装置を開発・作製し、330MeVのArビームを照射した。本技術でPVDF膜に形成されたイオントラックは、通常の真空照射によって作製できる穿孔径の2倍もの大きさを有し、かつ6倍もの速さで作製できることがわかった。また、官能基の分析からも、酸素中での照射によって膜内に酸素含有官能基が生成することがわかった。これらの結果から、本技術を用いてイオントラックを形成すると同時に内部を酸化させることによって、強酸化剤を添加せずにPVDF膜のイオン穿孔を作製することが実現した。

口頭

酸素中での大面積均一ビーム照射によるフッ素系高分子のイオン穿孔膜作製技術

喜多村 茜; 八巻 徹也*; 百合 庸介*; 越川 博*; 澤田 真一*; 湯山 貴裕*

no journal, , 

本研究では、イオン飛跡を飛跡の形成と同時に酸化させるというアイディアを基に、酸素中でイオンビーム照射を行う技術を開発し、穿孔形成挙動を検討した。酸素雰囲気下に設置した厚さ25$$mu$$mのポリフッ化ビニリデン(PVDF)に対し、高崎量子応用研究所TIARAのサイクロトロンに設置された大面積均一重イオンビーム形成・照射装置を用いて、520MeVのArビームを照射した。Arビームはビーム移送中にエネルギーが低下し、PVDF膜に達した際に330MeVとなる。従来手法である真空中での330MeV Arビーム照射も行い、孔径と官能基の変化を比較した。結果として、孔径については、酸素中照射の方が、エッチング開始から32時間までの初期過程で穿孔拡大速度が加速し、従来の真空照射では得られない直径500$$mu$$m以上の大きいサイズの孔径を作製できることがわかった。また官能基については、酸素中照射した膜において、酸素含有官能基の生成が優位に検出された。いずれも、イオントラック内部の酸化が起因し、酸素中で照射したことによって、分子鎖が切れて生成した活性種を消滅前に酸素と反応させることができた結果である。酸素中照射により積極的に飛跡内へ親水性官能基を導入することで、エッチング処理時に飛跡内への溶液の浸透が促進され、強酸化剤を添加することなく、効率的に穿孔が形成できることを示した。

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